染色の歴史

前世紀の目覚ましい技術の進歩にも関わらず、染色プロセスはほとんど進化していません。実際、現在使用されている多くの染色技法は、完成した生地を染料のプールに浸し着色するという、綿やウールなどの天然繊維を染色するために考案されたものです。約100 年以上前に合成繊維が登場した後でもその技法は変わっておらず、その多くは環境にとても深刻な悪影響を及ぼしています。

染色の課題

従来、繊維や衣服は完成後に染色されているため、着色する際に多くの水と化学薬品が必要となります。この染色方法では、1 メートルの生地を染色するのに20 リットルをはるかに超える水が必要とされ、そのプロセスにおいて大量のエネルギーを消費します。しかし問題はそれだけではなく、染色の過程で排出される大量の有毒廃水にあります。現在の染色プロセスは、時代遅れの慣行が根強く、規制も不十分なため、この廃水を自然環境から遠ざけることは難しい状況となっています。

”ソリューションダイ”

染色業界のクリーンアップには抜本的な変革が必要と考えられる中、”ソリューションダイ”や”ドープダイ”の登場は、大きな一歩をもたらしました。これらの染色方法は繊維が糸になる前（原料そのもの）に染色をおこなうもので、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維の着色に使用されています。従来の方法と比較して、水の消費量を最大 60%減、化学薬品の使用量を最大 90%減、またCO2の排出量を大幅に減少させることができます。さらに、原料そのものを染色するため、色が定着しやすく、色褪せがしにくい点も特徴です。以前は”ソリューションダイ”で可能な色は限られていましたが、e.dye®社などによる、新しいカラーマッチングプロセスにより可能性の幅が飛躍的に拡大しました。”ソリューションダイ”の進歩は、アウトドア業界が目指すサステナブルな未来への一歩に過ぎませんが、革新の意志と絶えず進化する技術を備えていることの証明でもあります。より明るい未来のために、このような新しいアイデアで問題を一歩一歩を解決することができると信じています。